TimeTracker NXで作業構造(WBS)を登録しタスクの抜け漏れを防ぐ

『隠れた作業があることに気付かず、納品を進めたことで、不良をだしてしまったのです』
という相談を頂いたことがあります。

せっかく、納期に間に合わせるためにがんばったのに、顧客の期待に応えられないのは、忸怩たる思いでしょう。

『作業工程は、ベテランの頭の中に入ってるんや。今は、コミュニケーションで何とかなっとるで‼』

ベテランの「暗黙知」が私は大好きです。新卒時代は、丁稚として、先輩が何をするのかをずっと観察していました。

しかし、リモートワーク全盛の昨今においては、フィジカルのコミュニケーションではやりきれない場面も多くあります。

本日紹介するのはプロジェクトや業務などの仕事を構造化する(WBS)の技です。
・プロジェクト管理・工数管理の課題~タスクを見落とす~
・なぜ仕事を構造化する(WBSを定義する)必要あるのか
・どうやってTimeTrackerでWBSをつくるのか?
について紹介します。


■プロジェクト管理・工数管理の課題~タスクを見落とす~

仕事や業務管理のご相談をお客様から頂くときによく耳にする課題があります。

・作業の抜け漏れがあり、炎上した
・計画が不明確で、不安だ
・管理したいが、どの仕事をどう管理すればよいかわからない

この課題を口にするお客様の現場にヒアリングをすると
・卓越した技術をもち、経験豊富なベテラン社員(ファンタジスタ)に頼っている
・計画すること、Excelで詳細に書くことに時間がかかり、計画を更新できていない
・全体を思い付きでマネジメントしようとしている 
などのケースが散見されます。

属人化する管理は、ある業務を特定の人が担当しつづけ、それによってさまざまな弊害が出る恐れがあるのでおすすめしません。

人間の脳は常に高負荷な処理をしているため、常にラクをしたがっています。

アタマの中だけでの知覚や記憶は、ざっくりしています。

できているつもりでも、書き出さなければ、タスクの見落としは発生します。

また、タスクの捉え方が人それぞれ異なっていると、後々終わっているのか終わっていないのかが分からず、現場の混乱を生みます。

我々デンソークリエイトはプロジェクトや業務管理自体を標準化し、誰でも同じように管理できることが、効率化やメンバーの成長につながると信じています。

今回はその考え方や現場で使っている技を紹介します。


■なぜ仕事を構造化する(WBSを定義する)必要あるのか


そこで、用いる技が構造化すること、つまり「WBSを定義する」ことです。

プロジェクトや業務のWBSを定義することのメリットは3つあります。

① 作業(タスク)の抜け・漏れや重複を防げる
“最初に挙げるのは、作業の抜け漏れや重複を防げるメリットです。WBSでは、トップダウンで論理的に作業や成果物を分解していきます。このため、作業の抜け漏れ、重複を防ぐことができます”(*初田2012)
② 計画が明確になる
“管理しやすい、しっかりとした計画を作成できることです。プロジェクトで利用する様々な計画のインプットになります。例えば、スケジュール作成と進捗管理です。作業単位で進捗を把握できれば、管理レベルはぐっと向上します”(*初田2012)
③ 分解して管理する習慣が身につく
“プロジェクトは、いくつかの小さなグループに分割すると問題が小さなグループの中に閉じ込まれ、解決(統治)しやすくなります。そして複数の小グループを統治することによって、最終的にプロジェクト全体を統治できます” (*初田2012)

いかがでしょうか。急がば回れで、一度現場の業務内容を構造化し、WBSを書くと、仕事をコントロールできそうなイメージが湧いてきませんか?

TimeTracker NXもこのWBSの考え方を大切にしています。

次の単元では、どうやってTimeTrackerでWBSをつくるのか?をご説明します。


■どうやってTimeTrackerでWBSをつくるのか?

WBSを定義する前に、まずは、現場の仕事を「プロセス」と「成果物」とに分け、その関連性を図示することをおすすめします。

PFDと呼ばれるプロセス改善の技法で、データフローダイアグラム を改良して作られたプロセス設計記法で、表記法がシンプルであるため扱いやすく、汎用性が高いといわれています。

デンソークリエイト 計画・進捗管理研修テキストより抜粋

まずは、難しく考えずに、「プロセス」と「成果物」を書き出して並べてみてください。関連性がわかれば線を引いてください。

「プロセス」と「成果物」の観点で洗い出しの次は、WBSの作成です。

ロジックツリーを書く感覚で、大きい仕事から小さい仕事に整理をしていきます。

漏れなく、重複なく作成し、「これらが終われば、つつがなく完了できる」と作業の見通り、見積もりができるレベルまで詳細化します。

デンソークリエイト 計画・進捗管理研修テキストより抜粋

実際にTimeTracker NX上で表現すると下記のようになります。

デンソークリエイト 計画・進捗管理研修テキストより抜粋

余談ですが、TimeTracker NXのWBSは16階層まで作成でき、同階層に999個のアイテムつくることができます。

この999個作成というのは1つのアイテムに対して以下(子)のアイテムとして作成できるワークアイテム数の上限という意味です。

対象(親)アイテムが異なる場合には同一階層に1000個以上のワークアイテムが作成可能です。

第一階層     第二階層
親Aパッケージ  子タスク999個
親Bパッケージ  子タスク999個
親Cパッケージ  子タスク999個

つまり、どんな複雑な現場の仕事にも対応できるWBSを作成することができます。

その点は、TimeTracker NX開発者の「現場の困りごと解決」に対する強いこだわりです。


■結びに

本稿では、WBSに関して書きました。

色々申し上げましたが、「WBSの見本がほしい。ないの⁈」というご用命を受けまして参考WBSをダウンロードできるようにしております。必要に応じてご利用下さい。

参考:WBSのサンプル

また、TimeTracker NXの導入や運用に際して、WBSに関してご相談がある場合はお気軽にお問い合わせください。

近藤 剛人さんとミーティング (hubspot.com)

本ブログでは、TimeTracker NXのコンセプトや課題に対する解決方法などを分解し、随時更新していきます。

引き続きご期待ください。


*参考文献:「システム開発のためのWBSのつくり方」初田堅司著

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