「工数管理なんて意味ないよ」とは言わせない ~QCDを用いたソフト設計現場の仕事術~

「近藤さんってブラジリアン柔術家みたい…受け師だね、全要望承りますってさ…」
ある時、顧客への同行営業の帰りに営業マネージャーの浅田さんから放たれた一言。

そうです。お客様の要望を全部かなえて、仕事の支援をしたいというのはカスタマーサクセスの矜持です。

叶うことなら、全部叶えて、お客様には幸せになって頂きたいです。

しかし、現実は、「できること」「できないこと」があります。見通しや見積り無しに「できます」と言うことでは信用を失いかねません。

TimeTracker NXは工数管理・プロジェクト進捗管理・タスクのスケジュール管理を支援するツールとして生み出されたWebアプリケーションソフトウェアです。

ソフトウェア受託開発業、自動車・部品製造業、機械設計業、シェアードサービス業、医薬製剤製造業、情報処理サービス業、建築設計業など多くの製造業やサービス業のお客様の工数管理、進捗管理、タスクの見える化などにお役立ていただいています。

弊社も製造のソフトウェア開発に従事する会社のひとつで、TimeTracker NXのユーザーです。

本稿を読んで頂いているビジネスパーソンの皆さまも日々業務のなかで、「工数見積もりはどう算出すればよいか?」「納品スケジュールをどう調整すればよいか?」「タスクの進捗状況を何の指標で見える化・評価すればよいか」理想と現実のなかで悩むことがあると思います。

今回は、仕事の品質に焦点を当ててQCD観点での仕事調整術とそこに工数が役立つことをお話します。

記事を読んで頂いた結果、「工数なんて意味ないよ」と思っている方が、「工数管理をやってみよう」と気持ちが変化することを期待しています。

工数管理の目的って何?改めて意義を確認する

まず、工数管理の目的をお話します。

計画の開始日と終了日を引いても点と点を作っているに過ぎません。本当にそこに向かっているのか?正しくベクトルはゴールに向いているのかというのは実績工数を見なければ判断できません。

そういった意味で、実績工数は仕事の完了までの道のりを計る重要なキーファクターといえます。

計画だけを可視化しても、作業実態がわからなければ、納期遅れの遅延を察知することはできないため、実績工数を収集し、仕事にどれだけ時間がかかっているのか認識する必要があります。

参考サイト:工数管理はどうやるの?/Step1~まずは工数を「ざっくり」見る~

ユーザーが口にする工数管理のデメリット

工数管理を行う計画を立てると下記の理由でチームメンバーの反対にあうことがあります。

下記の点を事前に対策することをおすすめします。

メンバー工数管理は意味がなく、無駄だと思っている

工数管理の業務プロセスや方法を説明する前に、必ず、なぜやるのか目的を共有することをおすすめします。また、工数集計結果をどのように活用するのかも決めるとよいでしょう。

工数管理のための集計がメンバー負担になってしまう

工数を入力し、集計する作業は難しく、時間がかかります。工数集計自体に負担が高いと、活動は頓挫します。

入力と集計の負荷を下げるためにTimeTracker NXを利用するとよいです。事務作業の時間を軽減し、実務や考える時間に工数を投下することが大切です。

工数管理の結果が、メンバーのモチベーションを下げてしまう

精度の高い工数が集まると、管理者はメンバーに対して「予定と実績の乖離理由」を追求することができるようになります。厳しい追及がモチベーションを下げる要因です。

「実績」を鑑みて、管理者が支援やアドバイスをすることでモチベーション維持につなげるのが正しい活用方法です。

参考サイト:工数管理ができない理由を考える~失敗から学ぶ工数管理~

業務調整負荷が70%削減。TTNXで工数管理を行うメリット

TimeTracker NXで工数管理を行い、業務調整負荷を70%削減した事例があります。

エンジニアのリソース負荷管理が正確に行えていない状態だったから、「工数≒コスト」工数がわかると自然とプロジェクトのコストが把握できるようになりました。
・プロジェクト単位でコスト超過はないのか?
・メンバー単位でコスト超過(リソース高負荷)はないのか?
など確認ができています。

参考サイト:【ユーザー事例】TimeTracker NXとBIツールDomoとの連携で、データの可視化を高め、経営資源にする

メンバーの不満を解消し、工数管理を適切に行うための解決策

プロジェクトリーダー自身が、メンバーが残業すれば良いと安直に考えること、管理者がプロジェクトの実態を把握していないことは、避けるべきことです。

社内の実態を把握するためには、実績工数を集計・分析することが最適です。

弊社の場合は、TimeTracker NXを用いてプロジェクトの進捗管理をしています。

参考サイト:プロジェクトの進捗報告 社外・社内との調整の方法

 

次章では、工数を用いて、QCD観点で業務を調整する事例を紹介します。

仕事の提供価値

仕事は、顧客をはじめとするステークホルダーからの「期待」と自らが提供する「価値」との相互関係で成り立っています。

顧客の期待に対して、それを上回る価値提供ができれば大きな満足を与えますし、希望通りの価値提供ができなければ顧客に不満が残ります。


ttnx_providing Value顧客の期待と自社の提供価値の関係図(筆者作成)

 

顧客の期待(要求)に全て応えることができない場合は、交渉するなどの調整が必要です。

顧客に期待される仕事をするためには、より良い品質を、満足できる価格で、希望する納期までに届ける努力が求められます。

仕事の向上のために重要な3つの要素を表したものがQCDです。

今回は仕事現場でこの3つの要素がどのように用いられるのかを紹介しながら、工数管理との関係性や効果などをお話します。

QCDは、それぞれ「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」を表していて、この3つを意識することにより、仕事の「生産効率」の向上を目指します。

QCDには優先順位があり、最も優先すべき要素は「Quality(品質)」とされています。他よりも安く、早く製品が届いたとしても、使い物にならない品質だと意味がありません。

また、3つの要素はトレードオフの関係になっています。どれか1つを過度に強化すれば、残り2つを犠牲にすることもあります。原則、どれか1つの要素だけを重視するのではなく、3つのバランスを取ることが重要です。

今回はQCDを用いた仕事調整術を取り上げながら、かつQCDの活用に工数管理が関わっていることを解説します。

工数とQCD観点での仕事調整術

ここでは、顧客折衝でのQCDの用い方をお話します。

【ケース1】
ビジネスパーソンの皆さんが日々顧客と対峙する中で顧客要求が段々と上がっていくことがあると思います。

より高品質で、もっと安く、もっと早く、求められるレベルは日々上がります。

顧客からの期待・要求に対して、無理をして全部受ければ、実現できなかった時に信頼・信用を失いかねません。

難しい要求の時はQCDの観点で何を大切にするか確認し、仕事を調整することが大切です。

調整例
・Quality(品質重視):
「品質の良いものをご提供するために、リソースを投下するので、費用は2倍になります。また各工程のレビューとテスト工程に時間を頂くので納期が延びます」


・Cost(コスト重視):
費用を下げる場合は、製品の品質は評価版程度になります。動作はしますが、完全ではありません。繁忙期を避けての開発することをご了承ください」


・Delivery(納期重視)
「納期は遵守します。その代わり、品質保証レベルを1ランク下げること、リソース追加にともなうため追加費用が発生します」

上記のようにQCDの3つの要素はトレードオフの関係に着目し、顧客と交渉することができます。

【ケース2】
ケース1では調整例を紹介しました。しかし、ビジネスの現場では、後出しの交渉に応じていただけることは稀です。

とはいえ、事前の調整も厳しい交渉の嵐となるでしょう。

調整や交渉を計画的にすすめるためには、「精度の高い見積」をつくり、見通しを立て、顧客と調整する必要があります。

そんな時は「工数」を用いて根拠ある見積をつくることが有効です。

ttnx_man-hour estimationTimeTracker NX Webセミナー資料「工数データを業務改善に活かすための取り組み事例を大公開」より抜粋

工数管理をツールで体験してみる



工数管理ツールのTimeTracker NXで、特定のプロジェクトの工程や作業にかかる実績工数を集計しておくと、次回以降類似プロジェクトが発生した際に速やかに費用(コスト)の見積もりを立てることができます。

該当プロジェクトの品質要求が高い場合は、前回の実績を基に、予算を追加していただく箇所や、時間がかかる工程を洗い出し、顧客と調整を行うことが可能になります。

工数があることで「見通しを立てること」「数字的根拠をもった交渉」ができ、結果的に顧客の期待に応えることができるのです。

Quality(品質)のつくりこみは”前工程”で生まれる

前段では、QCDの中ではQが優先されると述べたうえで、QCD調整術を紹介しました。

では、そもそも現場の仕事でQuality(品質)はどうすれば上がるのでしょうか。

本章では、品質をつくり込む例を紹介します。


【各作業工程で必ずレビューを行う】

納期を優先するあまりにレビューの時間を後工程にまわすなど、なりゆきに任せて仕事を進めると、納期直前に不具合が発見され、顧客の期待を叶えることができないケースが発生します。

「品質をつくり込むのは前工程である」と考え、次工程に移る前に、必ずレビューを行い、その工程で指摘を洗い出すことが、品質向上につながります。


「設計支援ツールNext Design製品紹介」資料を抜粋および筆者加筆修正


レビューをプロジェクト計画に取り入れることは簡単ですが、
・レビュー回数
・レビュー時間
・指摘件数
を実績工数、実績成果量として残すことが大切です。

そういった点を実績重視の工数管理と工程管理の両方の視点を持っているソフトTimeTracker NXでサポートできます。

ttnx_project
レビュー計画をWBS上に作成し、左側の[アイテムプロパティ]から実績工数および実績成果量(回数)を記録します。

ttnx_project

工数管理をツールで体験してみる

 

工程管理管理の観点で言えば、プロジェクトのWBSの階層を16階層まで作成することができどんなプロジェクトの工程にも対応できます。

プロジェクト画面の左側の[アイテムプロパティからレビューを実施したドキュメントを保存することができます。レビューが完了した要件定義書は次工程の「入力」となります。

余談ですが、弊社デンソークリエイトでは、レビュー無しに次工程に移ることはご法度です。レビュー活動をとても大切にしています。

その理由は、前工程で品質を上げた結果が、最終的に製品の品質になると考えているからです。

加えて、弊社デンソークリエイトでは、仕事の品質を上げるために支援ツールを自社開発し、現場で利用し、高い効果を得ています。

プロセス・ルールをつくり、それを支援するツールをもって、仕事の品質を上げる努力をしています。

【デンソーグループの現場で使用しているツール群(レビューを含む)】

Next Design:現場独自の設計のやり方はそのまま。各工程の設計情報の構造と関連を定義し、入力情報をデジタル化する。設計トレーサビリティやインターフェースの整合検証、ツール連携といった高負荷作業を自動化し、企業や組織を横断して設計データの標準化と共有を容易にする

Lightning Review:簡単にレビュー内容を記録できる。レビューの状況が"一目"で把握でき、指摘・問題の"バラツキ"を可視化する。またレビュー自体の手戻りも起こさない仕組みを持っている

・TimeTracker NX:工数管理および工程管理を行い、特定の工程・作業の完了や実績を確認する

工数管理の意味とは

本稿では、QCDを用いた仕事術を取り上げ、仕事の品質をあげるためにはどんなアプローチがあるのか紹介しました。

その一例が「レビュー」ですが、本当に質の良いレビューであったのかを確認するためには、工数管理が大切になります。

レビュー以外にも、仕事の品質をあげるための指標(メトリックス)は様々あります。

ttnx_effort_metricsTimeTracker NX Webセミナー資料「工数データを業務改善に活かすための取り組み事例を大公開」より抜粋

これら指標(メトリック)を集計する際にも工数が必要となります。

現場で日々奮闘されているビジネスパーソンの皆さまは、顧客に期待される仕事をするため、より良い品質を、満足できる価格で、希望する納期に間に合うように努力をしていると思います。

それを実現するために、指標(メトリクス)をつくり、スコアをあげるために尽力されていると思います。そういった現場の努力を下支えするのが「工数管理」なのです。

工数管理を成功させるポイント

工数管理は、プロジェクト管理において非常に重要な機能です。メンバーは、予算の範囲内でプロジェクトを完了するために、タスクを正確に予測し、作業時間を追跡する必要があります。以下は、工数管理を成功させるためのいくつかのポイントです。


1. 目標を設定する

メンバーは、タスクの時間と予算の目標を設定する必要があります。計画工数と実績工数を比較したりすることです。これにより、メンバーは、タスクの進行状況を追跡し、必要に応じて調整することができます。


2. コミュニケーションを改善する

メンバーは、定期的にコミュニケーションを行うことが重要です。これにより、メンバーは、プロジェクトやタスクの進行状況を把握し、必要に応じて調整することができます。また、コミュニケーションを改善することで、メンバーは、意思決定を迅速化し、プロジェクトの品質を向上させることができます。品質のキーとなるのが工数管理です。

3. ツールを使用する

工数管理には、多くのツールがあります。これらのツールは、作業時間を追跡し、プロジェクトの進行状況を監視するのに役立ちます。ツールを使用することで、プロジェクトメンバーは時間を節約し、正確な情報に基づいて意思決定を行うことができます。

弊社では自社開発をしたTimeTracker NXを利用しています。

ツールを用いた工数管理・タスク進捗管理の提案

私がもし「工数管理なんて意味あるの?」と問われたら「仕事の成長の源泉であり、日々の仕事の改善のために不可欠なものである」と答えます。

プロジェクトのスケジュール、タスクを割り当てるだけでは、仕事の品質を担保しながら、納品・完了までもっていくことができません。工数観点が必ず必要です。

日々、様々な悩みと戦い、工夫し、頑張った証の一つが工数だと思います。そこには失敗も成功もありますが、最後は希望となります。

そのくらい工数は仕事にとってかけがいの無いものなのです。

今回ご紹介した「工数データを業務改善に活かすため の取り組み事例を大公開」もメールアドレスの登録だけでダウンロード可能です。ぜひ、ご参照ください(画像をクリックするとダウンロード画面に遷移します)。

image-png-Feb-09-2022-11-53-45-01-PM

工数管理をしたいと思ってもExcel(エクセル)などの表計算ソフトだけでは、機能不足な面もあります。ぜひ工数管理・タスク管理を得意とするTimeTracker NXを手に取っていただければ幸いです。

またすぐにツールを無料で触ることのできる「体験版」、90日間無料でフル機能をじっくり試行できる「評価版」をご用意しています。ぜひこちらもお申込みください。

・工数の入力と見える化により現状の把握の機能

・ガントチャートなど、プロジェクト管理のための基本機能

・Exce(エクセル)l帳票との連携機能

・組織やプロジェクト横断での工数分析機能 など

豊富な機能を搭載しています。

製造業やサービス業の設計・開発、生産技術、情報システム、会計・総務などの現場で、工数管理・プロジェクト進捗管理・タスクのスケジュール管理にお役立てください。

 

工数管理をツールで体験してみる

 

関連記事

    RANKING月間人気記事ランキング