工数管理はどうやるの?/Step1~まずは工数を「ざっくり」見る~

■課長Aさんとチームにおける工数管理の取り組み

(前回課長Aは工数管理をするためにメンバーと話し合いを行った。詳細はコチラ)

チームに前向きな気持ちが生まれ、工数管理をしていくマインドセットが整った。

しかし、工数入力の習慣が無いチームにどう工数入力をさせるかが問題である。

「困っている点も理想の状態も数値的な根拠がなければ、個人の意識や感想になってしまう。まずは大きな粒度で工数入力をし、現場の健康状態を可視化することから始めないか」

課長Aはそうメンバーに伝えた。具体的には

プロジェクト名:ソフト開発

WBSのタスク名:主担当エンジニアリング業務(タスクコード1)

     割り込みエンジニアリング業務(タスクコード2)

     保守業務(タスクコード3)

     マネジメント業務(タスクコード4)

     業務外活動(タスクコード5)

上記のプロジェクトおよびWBS()を設定し、実績工数を入力することから始めた。

 

WBSWork Breakdown Structureの略。「作業分解構成図」とも呼ぶ。プロジェクトを構成する作業の中身。

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■工数管理はソフト/ハード両面からアプローチする

こんにちは、デンソークリエイト近藤です。

日々の営業活動で工数管理をお客様に提案する中で、課題となるのが「入力の習慣化」です。

「入力の習慣化」の課題をクリアするためにハードとソフト両面から改革を提唱しています。

一例を図示していますが、簡単に申し上げると「制度・環境」と「意識・風土」が必要です。


 ハード:入力が簡単な仕組み

    入力結果を活用・振り返る機会の設定

    入力・工数活用のルール策定 など

 ⇒制度・環境

 ソフト:工数管理の目的共有・理解

    工数管理の価値発見

    工数管理の先の仕事の成長感、成功イメージの共有

 ⇒意識・風土

 

課長Aのチームは、工数入力の習慣がありませんでした。

そのため大きな粒度で工数入力をシンプルにし、ハードルを下げることにしました。また、月間で結果の振り返りを行うことにしました。

目的は仕事内容に異常が無いか健康状態をチェックするためです。メンバーはこの活動に同意しました。

さて、1か月間工数入力した結果はどうだったのでしょうか……

■工数管理をはじめてからの発見と変化

「え!?マジか。俺たち開発職だよなぁ…」

各個人が正直に入力した実績工数を集計し、表示した結果、会議室には驚きの声があがった。

「エンジニアリング業務じゃなくて、やってるのは保守ばっかりだ…」

「私のメンバー主担当業務の時間が割り込みに喰われていますね…」

「こんな粗い粒度の工数でも色々わかるんですね…」

メンバーからは正直な感想が漏れた。課長Aは穏やかな声で話し始めた。

「仕事ぶりを可視化することで、気づきがあったことはひとつの成果です。加えるなら、せっかく課題が見えたのであれば、改善していきたい。我々の仕事は課題発見ではなく、課題解決にあるはずだ」

概ねメンバーからは同意を得られた。

ただし、「工数の偏りや具体的な課題がどこにあるかの真因を突き止めるためには、より詳細にプロジェクトごと工数集計する必要がある」といった意見が多かった。

当面はプロジェクトごとにWBSを設定し、工数を入力することにした。

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■次のチャレンジ

前段では、課長Aのチームが工数集計しただけで、いろいろな気づきを得たシーンをご紹介しました。

私たちの脳は膨大なエネルギーを費やすため「楽したい」「都合の良いように考えよう」とアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み、偏見)がかかります。

仕事の振り返りに関してもアンコンシャス・バイアスがかかりやすいと私は思っています。

TimeTracker NXを活用し忖度なしに実績工数を入力すると、思いがけない事実や実態が明らかになります。数字は嘘をつきません。

 TimeTracker NXのクイックレポートで個人の工数を振り返った例

 

仕事にはPDCAが大切ですと言われます。

我々デンソークリエイトは特に「C」が重要と考えています。

CAPDo(キャップ・ドゥ)」で仕事を可視化し、改善に向けてスタートすることをお勧めしています。

さて、課長Aのチームの次のチャレンジは、より詳細な工数を収集し、具体的な課題を改善していくフェーズになります。次稿はStep2としてそのあたりをお話します。

 工数管理ご興味ある方は、下記の資料を手に取ってください。また直接相談も可能です

皆さんの仕事の成果を上げる一助になれば幸いです。

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