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実績工数をR&D現場の生産性改善に活用する方法~具体的な改善アクションの7ステップを紹介~

作成者: 執筆者 近藤 剛人|Jun 12, 2023 1:11:15 AM

TimeTracker NXは製造業を中心に自動車、自動車部品、医療機器、創薬、ソフトウェアなどの設計開発現場に導入頂き、工数管理・プロジェクト管理の支援をしています。

またR&Dの現場でも数多く導入していただき、日々メンバーの皆さまの工数入力、負荷の見える化に活用を頂いています。

 

R&D現場の課題

R&Dの管理職・経営層の皆さまからよく寄せられる悩みとして

「実績工数入力は定着したのだけれど、具体的な生産性アップのための改善活動に活かせてない。どうすれば、実績工数を活用できるのだろう」

という相談をうけることがあります。

本稿では、実績工数をR&D現場の生産性改善に活用する方法を紹介します。

R&D現場のミッションと業務内容

説明をする前に、R&Dという部門の役割を整理します。R&D(Research and Development)は、企業や組織において新たな製品、サービス、技術、プロセスの開発や改善を行う部門または活動を指します。

革新的なアイデアや技術を追求し、競争力を維持・向上させることが役割になります。

R&D部門のミッションや業務内容は、企業や組織によって異なる場合があります。以下に一般的なR&D部門のミッションと業務内容をお示しします。

【新製品・新技術の先行研究】

先端技術やトレンドに関する情報を収集。市場動向・トレンドや競合状況を分析し、新製品や新技術の開発に向けた研究を行います。

【新製品・サービスの先行開発】

市場調査や顧客フィードバックの収集などを通じて、アイデアの創出やコンセプトの立案。試作品やプロトタイプの開発を繰り返し、新製品の実現に取り組みます。0から1を生みだし、市場にインパクトを与えます。

新しい研究・未知の仕事をプロジェクト管理する難しさ

先行研究・先行開発のプロジェクトの進捗管理や成果の評価もR&D部門の業務の一部となります。

R&D部門の仕事の難しさは量産開発とことなり、プロジェクト上の業務プロセスが揺れることです。

また、時間短縮・工数削減が成果ではなく、論文発表数、特許出願数、新製品リリース数など新しいことをどれだけ行えたのが成果になります。

その上で、プロジェクトの目標やスケジュールの設定、リソース負荷調整を上手くやりくりすることが必要になります。

R&Dの生産性向上のために必要なポイント

では、どのようにR&D部門が生産性アップすればどの点に注目していけば良いのでしょうか。観点は2つあります。

プロジェクトWBSや業務プロセス・タスクを整理する

ひとつは、現状の業務プロセスを詳細を可視化することです。具体的な手順、関与する役割や部門、情報の流れなどを見えるようにすることが必要です。フローチャートやプロセスダイアグラムなどのツールを使用することも有効です。この作業は時間がかかるかもしれませんが、逃げずに取り組む必要があります。

業務プロセスがわかればTimeTracker NXで簡単にWBSを定義することができます。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/blog/wbs

業務プロセス・タスクごとの投下工数配分を見える化し問題を特定する

R&D部門が生産性は、論文発表数、特許出願数、新製品リリース数など新しいことをどれだけ行えたので評価します。過去の仕事や手戻りのタスクに工数投下していないか? 業務プロセス・タスクごと投下工数の問題や障害を特定します。問題を特定することで、改善に必要な重点領域を明確にできます。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/blog/how-to-manage-man-hours-3

現場改善推進チーム・コンサルタントが直面する壁

改善推進チームと一緒に、TimeTracker NXに入力された工数情報を基に現場改善を行う際に私がよく直面する壁が3つあります。

【現場メンバーの抵抗】

大人は変化に抵抗します。新しい取り組みや手法に対する不確かさや不信感、既存の方法への執着などを盾に、組織や現場のメンバーは、変化や改善に対して抵抗を示す場合があります。改善推進チームはメンバーを含む関係者の意識やモチベーションを維持するために、必ず活動の目的を共有しマインドセットを行う必要があり、継続的なコミュニケーションや関与を行うことが大切です。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/blog/reasons-for-man-hours-management

【データや情報の不足】

現場改善には、正確で目的に応じたデータや情報が必要です。改善のキーになるのが実績工数ですが大きな粒度のタスクでは問題点が見えてきません。プロジェクトWBSや業務プロセス・タスクを細分化する必要があります。改善推進チームは、データ収集・改善の根拠となる情報を得るために努力する必要があります。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/blog/how-to-manage-man-hours-3

【継続・持続性の課題】

改善推進チームが解散後も、その改善が継続的に行うことができるかもポイントになります。活動自体が一過性のものにならないように、本質的な改善プロセスを残すことが必要です。

特に難しいのは工数入力を続ける点です。入力がなくなると問題発見ができません。TimeTracker NXは工数入力を簡単にすること・すぐに振り返りできることにこだわったツールです。その機能が工数管理・現場改善を支援に息づいています。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/blog/blog/successful-man-hours-management

実績工数を利用しR&Dの現場改善を行う7つのプロセス

Timetrackerのカスタマーサクセスチームは、実績工数を用いた現場の生産性向上プロセスを実施し、多くのユーザー様から高い評価を得てきました。現場改善により、R&D部門のユーザー様の業務効率が飛躍的に向上したとフィードバックを頂いています。生産性を上げるための改善プロセスは、以下のようなステップから構成されています。

改善プロジェクトの目的を明確にする

工数管理を始めて、その活動を成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。

私はまず、「目的」「課題」を明らかに自組織のなかでマインドセットすることをおすすめします。

課題を解決し、目的を果たすために何をすべきか活動目標を定めていくことが大切です。

「とりあえず細かく工数管理しよう」で見切り発車することはおすすめしません。

工数管理する目的は何なのか?そのために超えるべき課題はなにか自組織内でお話することがよいです。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/blog/blog/successful-man-hours-management

現場の課題を洗い出す【C】

具体的なWBSや業務プロセス・タスクを見直す方法に関しては、次の章で詳しく解説します。

投下すべき工数が「新しい仕事」「やるべき仕事」の実績工数になっているか見ていきます。

いきなりプランをたてるのではなく、実態をチェックすることから始まります。

プロセス改善のためのアイデアし小さくはじめる【A】

詳細タスク見える化するとメンバー個人レベルで気づきがあります。組織的な改善活動に入る前に、個人やチーム単位で日々の仕事を良くする行動をとります。小さくて構いません。

「過去の仕事の手戻りがおこっているのでセルフレビューのために管理工数を使ってみよう」

「未知の仕事に見切り発車で着手する前に段取りを上司に相談してみよう」など

小さな工夫を個人レベル・チームレベルで試してください。アクションが大切です。

プロセス改善のためのアクションプランを策定する【P】

現状の実績工数データをもとに、どうすれば改善できるのか?議論をします。

アクションプランを策定する際には、KPT(ケプト)というフレームワークを使用します。

  • What we should keep.(続けるべきこと)
  • Where we are having ongoing problems. (抱えている問題)
  • What we want to try in the next time period. (次にトライしたいこと)

上記3つの観点で実績工数を投下したタスクを分析し、どうすれば「新しい仕事」「やるべき仕事」の実績工数投下できるか議論します。

アクションプランを実行する【Do】

実行するためには弊社チームと改善推進チーム、R&D部門メンバーが心を1つにし志を立てることが必要です。

実行ができれば現場における業務効率の向上や品質の向上など、多くのメリットが得られます。

成果を評価し、改善点を洗い出す【C】

結果を再度確認します。改善の効果も見える化できるので成長の喜びを実感できると、改善活動が自然と活発化します。

繰り返し改善を続け、生産性を向上させる

上記で示した方法はCAPDoサイクルで改善プロセスを回すやり方です。

この方法は、実績工数を用いて現場の生産性向上を実現するための効果的な手段です。現場ニーズに合わせたカスタマイズ、状況に応じてプランを柔軟変えることも大切です。

参考サイト:https://www.timetracker.jp/concept/column/02-03.html

プロジェクトのWBSや業務プロセス・タスクを見直す方法

現場の課題を洗い出す【C】を行うためには事前準備が必要です。

TimeTracker NXを活用し、現場改善を行う際には2つのアクティビティを実施していただきます。

WBSを詳細化する

現場の仕事を「プロセス」と「成果物」とに分け、その関連性を図示することをおすすめします。難しく考えずに、「プロセス」と「成果物」を書き出して並べてみてください。関連性がわかれば線を引いてください。

「プロセス」と「成果物」の観点で洗い出しの次は、WBSの作成です。ロジックツリーを書く感覚で、大きい仕事から小さい仕事に整理をしていきます。

漏れなく、重複なく作成し、「これらが終われば、つつがなく仕事完了できる」となればWBSの詳細化はできた状態です。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/blog/wbs

タスクに作業分類を定義する

詳細なWBSを定義したら、末端タスクに作業分類を定義します。作業分類とは仕事のラベルです。

「将来のテーマ:作業」「将来のテーマ:レビュー」「将来のテーマ:管理」

「現在のテーマ:作業」「現在のテーマ:レビュー」「現在のテーマ:レビュー」

「過去のテーマ:作業(手戻り)」「過去のテーマ:レビュー」「過去のテーマ:管理」

など分類の値をつくります。そのうえでタスクがどの作業分類にあたるのか整理をします。

もしも、過去のテーマばかり工数を投入している場合は、問題があるはずです。その理由や背景を確認します。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/blog/process_or_work_classification

実績工数を利用し現場改善すると得られるご利益と副次効果

得られる利益

デンソークリエイトが提唱する業務改善の方法はR&D部門の生産性を最大化することができます。このプロセスを利用することにより新たな価値を生み出すことができます。

また工数をつけることでリソースに対して「家計簿」をつけることができます。日々仕事内容は変わる、定型的ではないといわれるR&D部門の仕事でもAという成果を生むためには大体このくらいの工数がかかると、「目安」「見積もり」の素を残すことができます。

今回ご紹介した業務改善の方法で、R&D部門の業務プロセスや成果までの工数がわかるようになれば曖昧さがなくなり、ムダな仕事、ムリな仕事、仕事のムラを明らかにすることができます。

参考サイト:https://timetracker.denso-create.jp/ja/lp

副次効果

業務効率の向上に加え、メンバー全員が改善活動に加わることで自分たちの仕事に対する意欲が高まります。また、メンバーのスキルアップにもつながります。改善のためのアイデアを出し合うことで、メンバーが新たなスキルを習得し、より高度な業務に取り組むことができるようになるのです。

ユーザーの声 実績工数を用いて現場改善することの提供価値

デンソークリエイトが提唱する業務改善の方法は、多くのユーザー様から高い評価を頂いています。現場での生産性向上に効果的であるとフィードバックを頂いています。

  • 工数入力定着の先の改善まで着手できた
  • ツール利用を超えて現場のアドバイスをもらえた
  • TTNXを軸に改善活動をおこなったらメンバー同士のコミュ二ケーションが増えた

などご評価を頂いております。

現場の改善の素となる実績工数の入力を続けられるTimeTracker NX

TimeTracker NXを導入することによる継続性のメリットは以下のようなものがあります。

精度の高い工数と可視化

TimeTracker NXは、精度の高い工数を収集できるツールです。

工数を見える化することで品質やコストの状況が明らかになり、業務の改善につなげることができ、可視化に基づいて意思決定や改善策を立案できるため、継続的なプロセス改善に役立ちます。軽快で洗練された UI で工数入力と手間のないく見える化を実現。

工数を資産として知識労働現場の改善活動を支援するのが、特長です。

実績の評価と振り返り

TimeTracker NXは、従業員の実績工数や生産性を評価するための貴重な情報を多彩なビューで出力できます。タスクに200以上のカスタムフィードを設置すれば改善の余地や効率化のポイントを見つけることができます。

さらに、上司やリーダーはメンバーのパフォーマンスを評価し、適切なフィードバックや支援を提供することができます。

これにより、メンバーの能力向上やモチベーションの向上に寄与し、継続的な成果を生み出すことができます。

透明性とコラボレーション:

TimeTracker NXを導入することで、プロジェクトやタスクの進行状況が可視化され、透明性が高まります。メンバーは、他者の進捗状況やリソースの利用状況を把握しやすくなります。

これにより、チーム全体でのコミュニケーションやコラボレーションが円滑化し、新しい仕事の継続的な進行や課題の早期発見が可能となります。

TimeTracker NXは業務改善の成功に貢献することができます。何かご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

次稿では、改善手法の一つであるCAPDoに関してお話します。