新人・新メンバーが組織・プロジェクトに定着するプロセス

気づけば、3月です。

3月にマイナビやONE CAREERなどの就職サイトでのイベント受付が開始し、

4月になれば、皆さんの会社にも新入社員が入社するのではないでしょうか。

もしかしたら、組織やプロジェクトのメンバー構成もガラッと変わるかもしれません。


本稿では、3月ならではのトピックとして、新メンバーがどのように組織に定着していくのか、またその際にどんな取り組みをすればよいのかを紹介します。

■デンソークリエイトの採用広報

冒頭から余談です。2022年卒の有効求人倍率は1.5倍となっています。ワークス大卒求人倍率調査(2022年卒) (works-i.com)

一般的に、有効求人倍率は1.0倍よりも値が大きくなると採用がしづらくなります。2022年新卒採用は、企業にとって厳しかったことが予想されます。また人口の少ない理系採用となると苛烈を極めるはずです。

弊社も理系学生を採用しています。採用には数々の難関が待ち構えています。
・何をつくっている会社かわかりにくい(組み込み、仕組みってなに・・・?)
・機密があるので仕事の詳細は語れない(何をつくっているかだれにも言えない)
・エンジニア募集の記事はどこの会社も同じに見えてしまう(パソコンの写真多め…)

そんな課題の中で、他社との差別化のため採用ページではこんなコンテンツを載せています(社内でも賛否両論ありますが…)。


【服装自由の制度を特集したコンテンツ】
風土を言語化することは難しいものです。服装自由の制度を持ち出して、風通しと創造的な風土をビジュアルで訴求することを試みています(バナーをクリックするとサイトに飛びます)。

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【入社2年目の本音アンケート】
若手と上司との関係性や期待についても掲載しています。入社後のイメージを先回りして伝える狙いがあります(バナーをクリックするとサイトに飛びます)。

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上記のコンテンツは一例ですが、良い方をお迎えし、現場で定着して成長していただきたいので、採用広報の場面で企業風土を伝えることや入社後のギャップを取り除く努力をしています。


人事担当者は、新人が感じる入社ギャップをなくしたいと思っています。
上司はじめ既存メンバーは、新人・新メンバーに早く定着し、成果を上げてほしいと願います。
新人・新メンバーは、新しい環境のギャップを解消したいと思うはずです。

思いはどうすれば届くのか・・・、採用コンテンツでそれぞれの願いを叶えようとしています。

■組織社会化とプロアクティブ行動

新人ないしは、新メンバーを自組織にお迎えする際には、新人・新メンバーに対して、「組織社会化」を促すことが大切だと言われています。

「組織社会化」とは、一言で言えば、組織内の役割期待や役割規範を身につけて、組織に適応していくプロセスのことです。企業でいえば、新人が仕事を覚えて職場に馴染んでいく過程が、まさしく組織社会化そのものです。『小川憲彦2020

では、どのように組織社会化を促せばよいのでしょうか。組織社会化を高める行動は「プロアクティブ行動」と呼ばれています。

一見消極的に見える新人・新メンバーも実は内面で戦っています。情報を集めたり、周囲に質問したりしながら、自ら主体的に組織に馴染もうと努力しています。

組織社会化の渦中にいる個人が主体的・自律的に起こす適応行動を「プロアクティブ行動」とよんでいます。

プロアクティブ行動には、3種類あると言われています。

プロアクティブ行動は、大別すると3種類ある。
①入社後、自分から「仕事のやり方や成果に関する質問」をすること。
②職場で上司や同僚とのより良い「人間関係」を構築すること。
③自分の思い通りにならなくても、ネガティブに考えず、物事の良い面を見ようとすること(これを「ポジティブフレーミング」という)。『竹内倫和2015』


プロアクティブ行動は新人・新メンバー本人の主体的な行動に起因します。

つまり主人公は本人です。本人が①~③の行動を上手くとれるように自組織は支援する必要があります。

無理やりプレッシャーをかけ、指示命令をするだけでは、ダメということです。

新人・新メンバーはプロアクティブ行動が取れれば、自ずと、組織に適応していくプロセスを踏むことができます。

組織適応できれば高パフォーマンスを発揮してくれることが期待できます。

■工数入力がプロアクティブ行動に代謝をかける

どうすれば、プロアクティブ行動に代謝をかけることができるのでしょうか。

行動を促すには、プロアクティブ行動の先に、満足感・達成感が得られることが必要です。

仕事のやり方や成果に関する質問繰り返しながら、職場の関係性を深め、ポジティブ思考で、仕事の成果を高め、その結果、満足感を得ることが大切となります。仕事の満足度を高めるためには、本人自身、「自己」にあるようです。

日本の若年就労者の特徴について,日本の若年就労者が仕事満足を高めるためには,自己に焦点をあてる方略が有効である。『星かおり2016』

しかし、セオリー通り「仕事のやり方や成果に関する質問」を新人・新メンバー(自己)から引き出そうとしても、根拠となるものがなければ、良い対話にはなりません。


そこで、役立つのがTimeTracker NXを用いた実績工数入力です。

TimeTracker NXでは、「タイムシート」という機能で工数を入力します。

「タイムシート」は予定表のような見た目なので、「私は、いつ、何に、どれだけ工数をかけたのか」時間軸も合わせて見ることができます。それによって、単純な個々の作業の時間だけでなく、どのような順番・タイミングで作業をしているのかが見え、個人個人の日々の仕事ぶりまでも見える「時間日誌」になります。

クイックレポート機能なら、入力と同時に工数が自動で集計されてグラフ化され、集計の手間をかけずに、自分の仕事内容を毎日客観的に振り返ることができます。

 



工数入力をしていくと、新人・新メンバー自身は、自己の仕事ぶりを確認することができます。

その結果、「この仕事の進め方でよいのか?」「要件がわからないまま進めて手戻りが多発した」「レビューに時間をかけなかった」など色々な仕事の課題点を自分自身で振り返ることができるのです。

自然と仕事の実態が見えてくるので、OJTトレーナー・上司は、新人・新メンバーが「仕事のやり方や成果に関する質問」することを支援することができます。

「どんな風に感じた?」「努力した点を教えてほしい」「次はどうチャレンジしようか?」など促しの問いかけをすれば、新人・新メンバーの力を引き出すことができます。結果として、良好な関係をつくることができます。

■末尾に

本稿では、社会組織化、プロアクティブ行動を取り上げながら、工数の有効性をお話しました。

私自身まだ工数管理を知らなかった前職を振り返ってみて、実績工数という客観的なデータが無いために上司面談がお互いの思い込みで進み、意見の相違になることが多々ありました。

あの時数値的根拠があったら建設的な議論ができたのにと、いつも悔やんでいます。

誰しもが、新人・新メンバーの成長を望んでいると思います。
TimeTracker NXを用いた工数管理の取り組みがその一助になることを願っています。


引用元サイト:

RMS Message 59
m59_all.pdf (recruit-ms.co.jp)

「適応」のメカニズムを探る3つの視点
m39_opinion_takeuchi.pdf (recruit-ms.co.jp)

若年就労者の仕事満足に対するプロアクティブ行動の効果についての検討
Jpn. J. Personality 25(2): 123-134 (2016) (jst.go.jp)

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