シェアードサービスの工数管理をしたいが、どのようにWBSを設定し、半期>四半期>月次のレベルで計画工数と実績工数の比較をしたいというご質問を頂きました。
本稿では、シェアードサービスならではのWBSのつくり方と集計方法を解説します。
2023年7月12日 TimeTracker NX バージョン6.0がリリースされます。
ピボット分析機能の強化により、タスク×リソース(メンバー)ごとの計画工数と実績工数の比較ができるようになります。
参考サイト:TimeTracker NX 6.0 リリースノート
シェアード企業の間接業務(総務・経理・人事・法務など)を受託するサービスのことです。複数のグループ会社からなる企業がコーポレート業務を1箇所に集めて集中化させることによる企業改革のことです。コーポレート業務(間接業務)とは、「経理・財務」「人事」「総務」「法務」「情報システム」など、バックオフィスとも呼ばれる部隊での業務を指します。これからの業務は、標準化することで集中化を図ることが可能な業務であり、集中化によりグループ企業全愛の業務効率化を実現します。
間接業務のコストを抑えられるため導入・運用をするため、シェアードサービス提供会社は、間接業を効率よく処理できるかが求められます。
効率よく業務遂行を行うためには、いくつかの課題を乗り越える必要があります。その課題が工数管理です。
解決策:作業時間を記録する方法を見直す。タスクごとに詳細に時間を記録することで、個々の作業の負荷を正確に把握できるようになります。
解決策:プロジェクトごと、タスクごとに割り当てられた割合を見直し、個人ごとのスキルや負荷に応じた配分を行うように調整します。
解決策:進捗を正確に把握するために、TimeTracker NXのプロジェクト画面でガントチャートやステータス・進捗入力をすることを検討していただきます。また、進捗状況を共有することで、チーム全体で把握できるようにします。
これらの問題を解決することで、シェアードサービスでの工数管理をより効果的に行うことができます。また、工数管理には人的要因が大きく関わってくるため、チーム全体でのコミュニケーションを密に行い、問題が生じた場合は早期に解決することが重要です。
この方法は、プロジェクトが長期化する場合には、工数の適切な管理に役立ちます。また、予定外の無駄な作業時間を減らすための切り替えが可能です。
この方法は、個々のタスクの時間を詳細に把握できるため、タスクごとの効率性を向上させることができます。また、プロジェクトの進捗状況を追跡するための指標としても使用できます。
この方法は、プロジェクト全体の進捗状況を把握するための総合的な指標として使用できます。また、個々のタスクごとの負荷を均等に配分することができます。
これらの方法は、プロジェクトやチームのニーズに合わせて調整することができます。ただし、最も重要なのは、進捗を正確に追跡することです。進捗が把握されていないと、プロジェクトの予算内に収めることはできません。さらに、進捗が不正確である場合、プロジェクトの進行状況に関する正しい判断を下すことができません。
シェアードサービスの工数管理の文字面でのやり方は理解しても、実際に予実管理を行うのは難しいと感じるユーザー様は多いです。
特にタスクごと、メンバーごとの計画工数は目安がないと入力することができません。
また、計画工数はあくまで予定です。どれだけ努力しても「=実績工数」の見積にはならないものと捉えてください。予実差は永久に出るものです。
上記を踏まえて、工数管理を始める際におすすめしているのは「まずは実績工数入力から始めよ」です。
数か月間実績工数の入力をおこなうと、具体的にどのタスクに何時間かかるのかわかるようになります。実績工数を基準として、計画工数を設定することをおすすめします。
参考サイト:工数管理はどうやるの?/Step1~まずは工数を「ざっくり」見る~
下記がシェアードサービスのWBSの例となります。プロジェクトの下に
・会社名>月>タスク という構成でWBSを作成しています
・このWBSでは月締めで、タスクごと計画工数・実績工数を比較することを狙っています。
工数管理を始めるためには、タスクごとリソースの割り当てをする必要があります。
①と②のアイコンをクリックし、リソースを追加します。削除する場合は③の箇所を押します。
ワークアイテムにリソース(メンバー)の追加や削除をすることができます。
・リソースを割り当てることで、割り当てられたメンバーはワークアイテムの実績工数入力が可能になります。
・また「計画」という箇所に計画工数の値を入れることも可能です。
リソース(メンバー)の計画工数を入力するとピボット分析で計画工数と実績工数の比較ができます。
参考サイト:リソースを割り当てる
WBSの階層が深くなると、縦に長くなり、かつ実績工数を入力するタイムシート画面に同名のタスクが大量に並ぶリスクがあります。それを避けるために月次で実施したタスクにロックをかけ、「終了」パッケージにしまって見えなくする運用ができます。
もうひとつポイントとしては、各タスクごと開始日終了日(ガントチャート)を入力することもお願いします。
期間を入力することで、ピボット分析画面で、計画工数と実績工数を比較することができます。
参考サイト:ピボット分析を活用する
進捗率やステータスなどを設定し、入力すると計画(期間)に対しての進捗も可視化することができるようになります。
開始日・終了日(ガントチャート)と進捗率が入っていれば、イナズマ線表示でどの箇所がおくれているか特定できます。
2023年7月以降にリリースされるバージョン6.0では、期間を指定して、タスクごとの工数予実を集計することができます。
リソース(メンバー)×タスクを行に追加し、列の集計軸は 年、Q、月、週、日の単位で集計することができます。
また、集計用のデスクトップアプリのAnalyticsを利用すると、計画工数と実績工数の予実を表示することができます。
該当プロジェクトのタスクの工数の投下状況を含め、進捗を確認することができます。
参考サイト:TimeTracker NX 6.0 リリースノート
シェアードサービスの工数管理の流れをまとめます。
まずは年、Q、月ごとにどんなタスクがあるのか定義する必要があります。
WBSのつくり方がわからないという場合はWBSのサンプルを参考に定義してください。
個人ワークをしたうえで、チームで議論し、レビューをすると抜け漏れのWBSが作成できます。
参考:標準WBSのサンプル
タスクを月次で分解したWBSを組むとより詳細の予実管理が可能です。
各タスクごと、計画線を引き、リソース(メンバーごと)計画工数を入力します。
そして、実績工数を入力します。
可能であれば、タスクごとの進捗率を入力するとより詳細が可視化できます。
対象のプロジェクト画面で、計画工数と実績工数を見比べると、どのタスクが予定よりも工数がオーバーしているのか確認できます。また工数×メンバーの単価を設定すれば、人件費(コスト)でも比較ができます。
進捗確認に関しては、イナズマ線表示をすれば1秒で遅れている箇所を特定できます。
ピボット分析はタスクの予実管理をプロジェクト横断して行うことができます。
また行の値をリソース(メンバー)ごとに指定すれば、人軸でどれだけ計画工数があり、実績工数がどれだけかかっているのか可視化することができます。
分析後に問題点があれば、計画線を修正する、リソースを追加するなどして、軌道修正をすることが可能です。また完了したプロジェクトを振り返り、次月、次年度は同じ轍を踏まないように予防策を検討することができます。
TimeTracker NXではメンバーごと日ごとの計画工数を入力するためには日ごとのタスクをWBS上に作成する必要があります。上記のように月ごと週ごとであれば階層の深さを受容できるかもしれませんが、日ごと・メンバーごと計画工数・実績工数の予実管理をしようとすると入力が複雑になり、メンテナンスに負荷がかかります。
今後はチームプランナー機能を開発し、その点をケアできることを構想しています。
本稿では、シェアードサービスの工数管理事例を紹介しました。皆さまの管理の一助になれば幸いです。