こんな経験ありませんか?
ゴールがコロコロかわり、いつまでたっても終わらない、永遠の進捗率90%。これがプロジェクト計画の遅延原因のひとつです。
その対抗策として、アジャイル開発の現場では“追加でやらない”YAGNI( You Aren't Going to Need it.) という考え方もあります。
しかし、現場は、顧客の期待に提供価値で応えないといけないため、成果物量が変動することはよくあります。
本稿では、この永遠の進捗率90%がなぜおこるのか、またどうすればそれを予防できるのかをデンソークリエイトの知見と進捗確認を支援するTimeTracker NXの機能を紹介しながら考えていきます。
3分で読めますので、お付き合いください。
考えられる原因のひとつは人間の心理と錯覚です。
進捗報告の場では、「事実」「意見」を分けて話をする必要があります。しかし、追い込まれているメンバーは、自分の願望を「事実」として伝える、または、「事実」の裏に悪い事を隠すことがあります。
一方で、進捗率として数値化された報告を聞くと、管理者はなんとなくできている気分になります。
表面上、進捗率の数字が順調に推移していると、それだけで安心してしまい、進捗率の裏にある本当の実態を確認することなく見過ごしてしまう危険性があります。
原因1とちかいですが、思い込みも良くない結果を生みます。
人間の脳は現実と理想の区別がつかないと言われています。思い込んでしまうと、自分自身がそうだと信じ、「自分の頭の中では設計書は書けている…だからほぼ完了だ」などと事実とのギャップを生みます。
仕事の完了には成果物の報告が必要です。また、完了したと誰から見ても分かるように明らかにする必要があります。
誰から見ても判断できること、つまり、状態(ステータス)の可視化が必要なのです。
では、どのように対策をしていけばよいのでしょうか。「永遠の進捗率90%」の原因には、進捗率の設定方法がかかわっています。
以下では、進捗率の設定方法に関して説明していきます。
・入力情報(要求内容、仕事のプロセスなど)の完了を進捗の根拠とする
出力情報(成果物量、ページ数、コード行数)ではなく、入力(要求内容ないし仕事のプロセス)の完了を進捗の根拠とすることが大切です。
弊社デンソークリエイトでは、仕事のプロセスを定義し、プロセスをアイテム化するケースがあります。プロセス化されたアイテムを完了しなければ次工程に移らないので、タスクの完了が進捗率となります。
・タスク応じて進捗管理の分母を変わりにくいものを選ぶ
成果物量など出力情報をゴールとしないといけない場合は、タスクごと変わりにくい数値を分母に設定することをおすすめします。下記は弊社識者からのアドバイスです。
【プロジェクトで実施する作業(タスク)には、いろいろな種類のものが含まれます。
単純な繰り返しの作業もあれば、企画・検討などのような見通しのきかない作業もあります。
これらの進捗率を同じ方法で求めようとしても無理があります。
タスクの特性に応じて、進捗率の求め方を柔軟に切り替えることが大切です。
進捗率には分母と分子があるわけですが、分母が揺れ動いてしまうようでは意味のない指標になってしまいますから、変わりにくい分母を選ぶことがポイントになります。
単純な繰り返しの作業などで、アウトプットする成果物の成果量が明確に見積もれる場合には、進捗率を計算で求めればよいでしょう】(デンソークリエイト シニアデスク後藤)
次に、可視化に関する対策を説明します。
ここでは、プロジェクト管理・工数管理ツールのTimeTracker NXを用いて、プロセスと進捗率を可視化する例を紹介します。
TimeTrackerの仕事の記録支援する機能が、可視化に効果的を発揮します。
【進捗率を計算で求めることが困難な場合には、タスクに対して複数のサブタスクや状態を定義し、それぞれに数値を割り当てるとよいでしょう。状態をどの程度細かく定義するかは、タスクの大きさに依存します。例えば以下のように、進捗を確認する度に進捗率が変化していくような粒度で、状態を定義することがポイントになります
・成果物の目次や構成を決定した:25%
・内容を作成した:50%
・レビューを実施した:75%
・レビューの修正が完了した:100%
場合によっては、タスク自体を更に細かく分割し、進捗率を積み上げることもできます】(デンソークリエイトシニアデスク後藤)
下記が、タスクに対して複数のサブタスクや状態を定義し進捗率を示した例です。
タスク「設計書作成」はサブタスク4つのうち3つ完了しているので75%と表記する計算式を入れています。
イメージ1:タスクに対して複数のサブタスクを定義し、それぞれに数値を割り当てた例
また、タスク以外にも状態(ステータス)を細分化し、表示する方法もあります。
イメージ2 状態(ステータス)を細分化した例
どうしても成果物量など出力情報で進捗率を計らないといけない場合は、各タスクの成果量を記録報告する方法もとれます。
イメージ3 成果物量を報告する
いかがでしょうか。
・入力情報(要求内容、仕事のプロセスなど)の完了を進捗の根拠とする
・タスク応じて分母を変わりにくいものを選ぶ
・進捗率を定義し可視化する
全てTimeTracker NXで可視化できます。
■過去の実績工数・成果量を根拠に使用する【対策3】
「愚者は経験に学び 賢者は歴史に学ぶ」という言葉がありますが、プロジェクトの結果を集合知の資産として他チーム・組織に還元することも大切です。
過去実績を基にプロジェクト立案時に見積の根拠として活用することが、「永遠の進捗率90%」をはじめとしたプロジェクト遅延の予防につながります。
TimeTracker NXでどのように記録し振り返るのかを以下でご紹介します。
例1:工程、タスクでの成果物(ドキュメント・画像)を保存する
次工程の入力や過去プロジェクトの振り返りのため成果物(ドキュメント・画像)を記録しておくことができます。
イメージ4:タスクにドキュメントを保存する
例2:各工程・タスクの実績工数を参照する
どの作業にどれだけ時間をかけたかがわかれば、計画に対して、妥当なスケジュールや計画工数を設けることができます。
精度の高い見積を立てることができれば、進捗の遅れの予防になります。
イメージ5:各工程・タスクの実績工数を参照する
例3:各工程・タスクの見積もりの根拠を示す
前段、タスクに対して複数のサブタスクや状態を定義し、それぞれに数値を割り当てて、
進捗率を示すことを紹介しました。しかし、そもそもなぜそのサブタスクが終わるとその進捗率なのかの根拠がないとタスクのプロセスで進捗管理すること自体が感覚的で曖昧になります。
それを避けるため、過去の実績工数を利用し、根拠づけすることができます。
(サブタスクは該当タスクの計画工数20%を占めるので、完了すれば20%進捗するなど・・・。)
イメージ6:見積の根拠を示す
上記のようにTimeTracker NXであれば独自のフィールドをカスタムフィールド機能で作成が可能なのです。
カスタムフィールドは最大200個作成することができます。
プロジェクト計画が遅れる「永遠の進捗率90%」という現象に対して、原因と対策をお話しました。
ぜひ、皆さまの現場でも対策が打てないか?進捗率の着眼を変えられないか?マネジメントを強化するために可視化できないか?などを議論してみてください。
引用元サイト:永遠の進捗率90% | 製品企画・現場改善の取り組み | コンセプト | 工数管理・プロジェクト管理ツール【TimeTracker NX】
デンソークリエイトの計画・進捗管理トレーニングもご用意しています。ぜひ、お問い合わせください。