プロジェクトの現場での出来事として、こんなケースありませんか?
得意先A社のBさんから14日かかる仕事を7日でやってほしいと依頼を受けています。
仕様が決まらず、工程の後半に仕様変更が頻発したことで、納期が迫っています。
「今回は仕様決定に時間がかかりました。
緊急を要するので、7日間で納品してください」
(十年来の付き合いがあり、しかるべきフィーはお支払いしてきた。Noはないだろう。)
(仕様変更を乱発するし、この人、毎回無茶苦茶言うんだよな・・・。
まぁ、メンバーが残業すればできるからOKしとくか)
「承知しました。今回だけは、14日間を7日間で対応します」
納品後…
「Cさんの管理者がDさんとお伺いしましたのでお電話しました。
今回の件、非常に憤りを感じています。いままで、14日間かかると見積の提示を受けていたにもかかわらず、7日間でできるとは、どういうことですか?我々は騙されていたのでしょうか?」
ハードネゴシエーターとの折衝のなかで、短納期に対応したにも関わらず、それがクレームの原因になった例です。このケースでは色々な議論ができますが、社外・社内のコミュニケーションに焦点を当てて問題点を羅列します。
【問題点】
I群
・仕様が決まらない
・工程後半に仕様変更があった
・短納期である
Ⅱ群
・顧客Bは根拠なしに、大丈夫だろうと依頼している
・自社社員Cは、根拠なしに残業すれば大丈夫と承諾している
・顧客Bは根拠がないため、委託先開発費用に疑念を抱いた
・自社課長Dは詳細を知らない
Ⅰ群は、開発現場では、変えたくても変えることができない定数です。
それを前提に対策をする必要があります。
一方で、Ⅱ群は現状把握やコミュニケーションの努力で改善できるに内容です。
プロジェクトの進捗管理において、難しいのはこのコミュニケーションの部分です。
常駐型を除いて、顧客と自社は別々の空間で仕事をしているため、状況が見えづらくなり、
キャッチできる情報が少なくなるケースがあります。情報が少ない場合は、認識のズレや心のすれ違いも生じてきます。ではどのように解消すればよいのでしょうか?
プロジェクトを遅延させないためには、迅速な情報収集と進捗報告による認識合わせが必要です。
その策として、弊社デンソークリエイトは、顧客に対して、キャッチボールミーティング(CBM)を実施しています。あえて「進捗報告」とは言わずに毎週30分程度
・認識合わせ
・進捗状況の確認などの情報共有
・自社内で行っている取り組みの紹介
・自社が仕入れた知識・トピックスの共有
を気軽に対話する場を設けています。「進捗報告」というと構えてしまう方もいるため受け入れてもらいやすいものにしています。
デンソークリエイト山路厚 Star研修資料「CBM:CBMと進捗管理」を筆者加筆修正
心理学の法則のひとつにザイアンス効果があります。別名「単純接触効果」と呼ばれるものです。初めのうちは興味関心がなくても、何度か触れる (接触する)うちに強い印象を受け、好感を抱くようになるというものです。
キャッチボールミーティング(CBM)もお客様に対してザイアンス効果をある程度発揮できていると考えています(あくまで、副次効果として)。
プロジェクトは、人を中心に動いています。お互いが胸襟を開いて対話できる場をつくることが、成功の一助となります。
プロジェクトリーダー自身が、メンバーが残業すれば良いと安直に考えること、管理者がプロジェクトの実態を把握していないことは、避けるべきことです。
社内の実態を把握するためには、実績工数を集計・分析することが最適です。
弊社デンソークリエイトの場合は、TimeTracker NXを用いてプロジェクトの進捗管理をしています。
開始日・終了日、ステータス、計画工数・実績工数などを該当アイテムに入力し可視化します。加えて、カスタムフィールドを使い管理に必要な入力値を最大200個作成することもできます。
TimeTracker NX 進捗確認イメージ
誰がどのプロジェクトにどれだけの負荷がかかっていのか実績負荷をすぐに確認できます。
TimeTracker NX リソース負荷イメージ
プロジェクトの進捗情報をリアルタイムに可視化できることで、顧客との対話の中でも「根拠」を示すことができ、精度の高い見積を提示することができます。
「仕様が決まらない」「工程の後半に変更が多発した」「短納期」である問題は定数であると述べました。実際に開発の現場では、「仕様があいまいなので、つくれません」という言い訳は共感を呼びますし、現場の理解も得られることがあるのではないでしょうか。
「トレーニング指向アプローチの土壌作り疲弊した組織を蘇らせる(山路2009)」より抜粋
https://timetracker.denso-create.jp/training?hsLang=ja-jp
しかし、それを言い訳に仕事のレベルを上げないのは本末転倒です。悪化すると思考停止の人材を生み出します。
思考停止をなくすには、プロジェクトに参加するメンバー自身が主体的にスキルアップすることを促すことが大切です。
そのために、弊社デンソークリエイトでは、「スキルアップ面談」を毎月行っています。
メンバーの成長のためにOJTトレーナーや上司が、時間を投資します。
TimeTracker NXの実績工数やクイックレポートを使い、仕事の実態を紐解きながら「どんな仕事をしたのか?」「成果をどう感じた?」「努力した点を教えてほしい」「次はどうチャレンジしようか?」など促しの問いかけをして一緒に成長について考えます(クリックレポートに関してはコチラの記事をご覧ください)。
TimeTracker NX クイックレポートのイメージ
つまり、メンバーが主体的に取り組めるマインド・スキルを付与するのです。あくまで、メンバーが中心の面談です。
■末尾に
プロジェクトの進捗報告をテーマにどうコミュニケーションをとり、根拠を示すのかについてお伝えしました。加えて、環境を言い訳にせず、メンバーの成長を促すことも大切と述べています。
弊社では上記のエッセンスを盛り込んだ研修も提供しています。もしご興味ございましたら、是非お問い合わせください。
https://timetracker.denso-create.jp/training?hsLang=ja-jp
参考文献:
「トレーニング指向アプローチの土壌作り疲弊した組織を蘇らせる(山路2009)」
https://timetracker.denso-create.jp/training?hsLang=ja-jp